日本の地域戦略
日本の状況から考える今後の地域戦略は、日本が歩んできた歴史や特徴を活かすことが今一度重要な観点と考える。
なぜなら日本固有の自然資本を活かし、次世代が今後何千年も豊かに楽しく暮らしていくための地域社会構造をこれから30 年程度で構築することが命題であるからだ。
そのために必要な要素は、地域ごとに多少異なるが、各地域のベースとなるエネルギー、農業、社会制度という観点では、共通した地域戦略であると考えている。
再生可能エネルギーによる地域電源の確保、食の自給率を地域で上げること、地域で有機農業を持続するための肥料工場をつくること、支え合う仕事(福祉など)に就くこと、グローバル人材とともにローカル人材を育成すること、地域の話し合いの場いわゆるコミュニティがあることなどがある。
また、安全面や住民の声をうまく反映するITや仕組み(モビリティ、蓄電ステーションなど)を導入していく必要がある。
※社会制度は、各国との特徴比較をして、歩む道筋を各地域で考察する必要がある
エネルギー(エネルギー自給率)
日本の化石エネルギー輸入額の推移
2030年度の一次エネルギー供給と電源構成
エネルギー収支
再エネポテンシャル
農業
食料自給率
農業就業人口と65歳以上の割合
島国(日本)※ | 大陸 | ||
稲作漁労 | 連作障害がないが水の管理などの協働が重要な生産要素になる。結果、定住と村社会が形成される。 | 畑作牧畜 | 森林を伐採し、牧畜農業を営み、小麦やいもを育てる。畑のため、数年ごとに畑の栄養や連作の問題が発生する。 |
多神教 | 様々な神々が存在し、自然に対する畏敬の念が存在する。絶対的な神が存在しない。 | 一神教 | 基本、絶対的な神が存在している。自然界よりも人が中心となり自然を超越しようとする意識もある。 |
海洋国 | 大きな海に阻まれて大勢の人類が移動できるようになったのは産業革命以降。結果、安全と循環が素地となる。 | 陸続き | 放牧による移動生活、領地争いなどが長い歴史の間に延々と続いた。その結果様々な競争と革命がもたらされ中世から近代に大きく発展した。 |
島国(日本)※ | |||
稲作漁労 | 連作障害がないが水の管理などの協働が重要な生産要素になる。結果、定住と村社会が形成される。 | ||
多神教 | 様々な神々が存在し、自然に対する畏敬の念が存在する。絶対的な神が存在しない。 | ||
海洋国 | 大きな海に阻まれて大勢の人類が移動できるようになったのは産業革命以降。結果、安全と循環が素地となる。 | ||
大陸(ヨーロッパ、中国) | |||
畑作牧畜 | 森林を伐採し、牧畜農業を営み、小麦やいもを育てる。畑のため、数年ごとに畑の栄養や連作の問題が発生する。 | ||
一神教 | 基本、絶対的な神が存在している。自然界よりも人が中心となり自然を超越しようとする意識もある。 | ||
陸続き | 放牧による移動生活、領地争いなどが長い歴史の間に延々と続いた。その結果様々な競争と革命がもたらされ中世から近代に大きく発展した。 |
※島国のニュージーランド、オーストラリア、アメリカ大陸の先住民は日本と同じような文明と言える。
日本は、明治維新以降に大陸化しようとした。大陸化の問題点も多くあったことが今になってやっと理解できた。必要な要素を残し、今後何千年何万年と安心して楽しく豊かに暮らせる社会のために、いい意味での島国的な自然界に根付いた社会構造を構築していく必要性が求められている。
再生可能エネルギー技術が発展したため、化石燃料に頼らない社会を形成することが可能となった。また、気候変動の問題もあり、世界は早期にその選択を余儀なくされている。IT技術も発達し、様々な情報やシステムが近代までのアナログでなくなった。結果、政府や自治体の役割にますます大きな変化がもたらされる。
エネルギー、農業、社会制度を今後30年余りでどのようにしていくかが、地域にとって、国にとって、地球にとって、次世代にとって重要なのである。
我々シン・エナジーは、1次産業的に地域の資源から再生可能エネルギーを創出し、バイオマス資源などから有機肥料を製造し地域の農業を持続可能なものとし、さらにその仕組みを構築する段階で、社会制度やコミュニティ形成をサポートし、結果、地域のベースとなるエネルギー、食、社会制度を確固たるものにすることが役割であると考えています。
海外でも様々な地域で、生態系と地域資源を生かした自給圏の形成が可能と考えています。
自給圏が形成されなければ、紛争や収奪が生まれる要素になります。
日本は、そういう自給圏文明を形成してきた国です。一旦、自給率が低くなった状況を、地域ごとでの取り組みを世界に発信していくことは、これからの社会にとって最も重要な活動となる。