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社長の活動
2023.09.26 【秋田県大潟村】もみ殻を利用した“日本最大級”の地域熱供給事業 ~自然エネルギー100%の村づくりへの挑戦!~

当社は、秋田県大潟村において、もみ殻を燃料としたバイオマスボイラーの導入による「地域熱供給事業/以下、本事業」の実現に向けた建設工事(EPC)を株式会社オーリス(秋田県南秋田郡大潟村/代表取締役社長:髙橋 浩人)より受注し、9月22日に安全祈願祭を執り行いました。

■大潟村の沿革と課題
大潟村は、1957年から約20年の歳月をかけ八郎潟を干拓し誕生した比較的新しい自治体です。
戦後の食糧難を解決し、豊かで住みよい近代的な日本農業のモデルとなる農村社会をつくることを目的とし、日本有数の米どころとして同村は発展してきました。しかしながら、これまで村内で大量に発生するもみ殻を十分に活用できずにいました。

■本事業の背景・計画
同村では、これまで「2050年自然エネルギー100%の村づくりへの挑戦!」を掲げ、「バイオマス産業都市構想」の実現に向けて取り組んできました。
本事業は「住み継がれる元気な村」を目指し、主要産業である稲作農業の新たなチャレンジとして、特定非営利活動法人環境エネルギー政策研究所(ISEP:東京都新宿区/所長:飯田 哲也)による事業可能性調査をもとに、もみ殻を再生可能エネルギーとして地産地消するとともに、太陽光発電、自営線※1、蓄電池などを設置することを計画しました。2022年4月には環境省「第一回 脱炭素先行地域」に採択され、同年7月には、脱炭素社会の実現と持続可能な地域づくりに貢献することを目的とし、本計画を実行するための地域エネルギー会社「株式会社オーリス」を地元主体で設立しました。
具体的な計画として、村内中心部にもみ殻を燃料とするバイオマスボイラーを設置し、ボイラーでつくられた「再生可能エネルギー熱(温水)」を5か所※2(現時点での計画※3)の熱需要施設に供給することで、これまで使われていた化石燃料の大幅な削減を図ります。
さらに、もみ殻を燃焼する際に副産物として生まれる「もみ殻燻炭」を地域の農業の土壌改良剤や育苗培土として利用することで、持続性のある稲作農村地域モデルの確立を目指します。
※1:一般送配電事業者以外の者が敷設する送電線
※2:大潟村立大潟小/中学校、大潟村特別養護老人ホームひだまり苑、大潟村ふれあい健康館、ポルダー潟の湯、ホテルサンルーラル大潟
※3:熱供給先の拡張を計画中

■事業の特徴
①村内で発生するもみ殻のうち年間約2,000 tonをバイオマスボイラーで有効利用。
② 化石燃料の使用量削減と、それに伴う域外への燃料コストおよびCO2排出量(約1,800 ton-CO₂)の低減に寄与。
③ もみ殻に燃料仕様(灰分含有量が多い)が類似している麦わらを活用したバイオマスボイラー製造の実績が豊富なデンマークのLinka Energy A/S社(以下、「Linka社」)製バイオマスボイラー、および熱供給の配管として保温性が優れ、かつ漏洩検知機能のあるデンマークのLOGSOTR INTERNATIONAL Sp.z o.o. 社(以下、「LOGSTOR社」)製熱導管を導入。
④ 村内約3.5 kmにわたり地域熱供給のための熱導管を地中埋設(国内最大級)。

⑤ 副産物として生まれるもみ殻燻炭を地域農家に販売し、育苗培土や暗渠資材などの農業資材としてJ-クレジット制度※4を活用することで農地への炭素固定、農家の経済的メリットの享受につなげる。
※4:温室効果ガスの排出削減量や吸収量をクレジットとして国が認証する制度

当社はエネルギーの地産地消を通じて、地域が豊かになる事業に取り組んでまいりました。
大潟村においても地元主導による「自然エネルギー100%の村づくり」の達成に向けた技術的支援を行い、地域資源を有効活用した持続可能な暮らし、農業の実現に貢献してまいります。

 

【地域熱供給事業概要】
導入設備:
・バイオマスボイラー(Linka社製)
・熱導管(LOGSTOR社製)
建設場所:
①秋田県南秋田郡大潟村字南 1 丁目 60 内 (バイオマスボイラー)
②秋田県南秋田郡大潟村総合中心地内(熱導管)
熱供給事業者:株式会社オーリス
敷地面積:約6,800 ㎡
定格出力:熱出力 計700kW(350kW×2台)
着工月:2023年9月
熱供給開始予定月:2024年7月
設備建設工事:シン・エナジー株式会社

⇒プレスリリース(PDF)

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