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当社独自の消化液減圧濃縮技術※1(以下、当技術)を全国で初めて導入した「かぶとバイオファーム発電所」(以下、同発電所)において2024年9月18日に竣工式が開催されました。当社は、同発電所の建設工事を行った三和電気土木工事株式会社より、消化液の前処理設備および濃縮設備の設計・建設を請け負いました。
当技術はバイオガス発電所から生成される消化液※2の濃縮を実現するもので、肥料成分の増加と減容化をすることで消化液の液肥利用促進および地域資源循環の実現が期待されています。
当技術による液肥利用の促進
バイオガスプラントでは、地域から発生する食品残さや家畜ふん尿等の有機物をメタン発酵し、再生可能エネルギーであるメタンガスと肥料成分を含む消化液が生成されます。消化液を農業利用する際の課題として、肥料濃度が低いために大量の散布が必要で、運搬や散布等の作業コストが高くなる点が挙げられます。また、消化液中の主な肥料成分であるアンモニアは揮散※3しやすく、悪臭や肥効低下の原因になることが懸念されています。これらの課題に対し、当技術は消化液中のアンモニアの揮発を防止しつつ濃縮を可能にすることで、これらの課題の解決を図ります。消化液の肥料濃度の増加と減容化により散布に掛かるコスト低減、さらには農業利用の促進に貢献します。
当技術のメリット
• 独自の前処理を施すことで濃縮時の発泡を抑制します。
• アンモニアの揮発を防止し、散布時のアンモニア臭の低減や肥効低下を防止します。
• 発電所内の余剰排熱を熱源として活用することで、エネルギー利用効率の向上に貢献します。
• 濃縮により散布作業時間を短縮し、燃料消費を削減することで脱炭素効果をもたらします。
• 消化液の課題を解決し、液肥利用の促進を通じて地域資源の循環に貢献します。
• 濃縮後の凝縮水※4は高い透明度を持ち、用水として再利用できるほか、簡易な水処理で河川放流が可能です。
当社は今後も再生可能エネルギー開発で培った技術と、地域資源および経済循環に関するノウハウを組み合わせて持続可能なエネルギーソリューションを提供し、地域社会と環境保全に貢献してまいります。
※1 【特許公開番号】特開2022-179446
※2 有機物からメタンを回収した後に残る液体
※3 物質が気化することで、例えば焼却灰、飛灰などを高温に加熱すると、低沸点の金属などが気化する場合が該当する。(出典:環境施設用語集)
※4 濃縮時に蒸発、回収した水分
【かぶとバイオファーム発電所概要】
発電所名称:かぶとバイオファーム発電所
建設場所:岡山県笠岡市カブト中央町182番地
発電事業者:かぶとバイオファーム合同会社
定格出力:1,427kW
施設規模:牛ふん尿約250ton/日
着工月:2023年7月
発電所工事:三和電気土木工事株式会社
【前処理設備及び濃縮設備工事概要】
消化液処理規模:設計値292㎥/日(全量処理・約2倍濃縮)
着工月:2023年11月
発注者:三和電気土木工事株式会社
建設工事:シン・エナジー株式会社
■三和電気土木工事株式会社
【本 社】大阪府大阪市北区南森町1-4-19(サウスホレストビル)
【代 表 者】代表取締役社長 森 博明
【事業内容】コンサルティング、設計・施工計画、施工、検査・試験、メンテナンス
■シン・エナジー株式会社
【本 社】兵庫県神戸市中央区御幸通8-1-6 神戸国際会館14階
【代 表 者】代表取締役社長 乾 正博
【事業内容】エネルギーを基軸とした地域のプロデュース&エンジニアリング
再生可能エネルギー開発事業、新電力事業