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当社と日本小水力発電株式会社(本社:山梨県北杜市/代表取締役社長:半田 宏文)が共同で設計を担当した能高大圳小水力発電所(南投県埔里鎮)が、2023年11月29日に着工式を執り行いました。本発電所は2024年12月頃の運開を予定しています。
同発電所は、台湾の農業省水利局とprinciple of Hydropower deployment(本社:台湾国台北市大同区、代表取締役社長:陳谷汎、以下pHd社)が共同で開発を計画したものとなります。
■背景
複数の山脈を有する台湾は、その急峻な山岳地形を利用した水力発電のポテンシャルを多く秘めていますが、同地域における水力発電の割合は全体発電量に対し、現状わずか1.1%※にとどまっています。
今回の「能高大圳小水力発電所」建設地である南投県埔里鎮は、豊富な水資源に恵まれ、地域の灌漑農業に利用されるなど重要なライフラインを担っています。また、この地にある「能高瀑布」という滝は地元でも有名な観光名所となっており、迫力のある滝を一目見ようと多くの方が訪れています。
同地域の水量は年間を通して安定していることと、高低差50m近い地理的条件も相まって、台湾政府の農業部農田水利署とpHd社が協力し、小水力発電所を建設するプロジェクトを立ち上げました。当社と日本小水力発電株式会社は、日本の小水力技術を提供する形で本プロジェクトを支援しています。
※経済部能源局の2021年度見解(日本貿易振興機構:“2050年のカーボンニュートラル実現に向けたロードマップを発表”)
■事業の特色
本事業は農業用水を用いた小水力開発ですが、地元の方々が利用する用水を考慮したうえで設計しています。出力は渇水時期349kW、豊水時期499kWで年間約400万kWhの発電量を見込んでいます。これは台湾の一般家庭のおよそ1,000世帯分に電力供給が可能な量であり、1年で1,980tのCO2排出量削減に貢献することが期待されています。
■今後の計画について
pHd社は現在、「能高大圳小水力発電所」の後続案件となる甲仙・桃園・五十渓の各三地点において新たな小水力発電所建設を計画しています。能高大圳に引き続き、各地点の現地調査や、水力発電計画立案に必要な各種データ等も踏まえて発電所建設の実現に向けた評価・設計業務を当社へ委託して頂くこととなりました。
それに伴い、着工式開催の翌日に「甲仙・桃園・五十渓における小水力発電計画」の業務委託契約締結の調印式を執り行いました。各三地点の発電所につきましては2025年の着工を目指しています。
当社は、「水力資源は地域固有の資源である」という開発理念のもと、地域のための「地域貢献型開発」
として水力開発を推進しています。本事業を、海外水力事業における重要な位置づけとして、これからも、脱炭素化社会実現に向けて、地産地消型の再生可能エネルギーの開発に取り組んでまいります。
■発電所概要
発電所名:能高大圳小水力発電所
発電事業者:霖全能源股份有限公司
所在地:台湾国南投県埔里鎮
水路名:能高大圳
総落差:48.56m
最大使用水量:1.25m3/s
最大発電出力:499kW
発電方式:流れ込み式・水路式
年間売電量:約4,000MWh
発電設備メーカー:CINK社(チェコ共和国)